第16回 オープンモデルとクローズドモデル
中身を公開するか、しないか
- クローズドモデルは中身を公開せず、サービスやAPIを通じて使ってもらう
- オープンウェイトは学習済みの重みを公開し、誰でも手元で動かせる
- 「オープン」にも段階があり、何が公開されたかと利用条件を見ることが大切
中身を見せるか、見せないか
AIのモデルを作った会社には、大きく2つの道があります。中身を公開せずにサービスとして提供するか、中身を公開して誰でも使えるようにするかです。前者をクローズドモデル、後者を学習を通じてこの数値を細かく調整することで、正しい答えや予測を出せるようになります。">重み情報)が一般に公開されており、誰でも自由に利用や改良、研究ができるAIモデルのこと。">オープンモデルと呼びます。
ここでいう「中身」とは、学習によって調整されたパラメータ(第13回)の値、つまり重みのことです。重みさえあれば、同じモデルを自分のコンピューターで動かせます。
クローズドモデル: サービスとして使う
クローズドモデルでは、重みは開発した会社の中だけにあります。利用者はチャットのサービスや、プログラムからAIを呼び出す窓口(API)を通じて使います。質問は提供元のサーバーに送られ、答えが返ってきます。
利点は手軽さです。計算機を用意する必要はなく、運用や更新、安全対策も提供元が担います。一方で、送った内容は提供元のサーバーで処理されますし、料金や仕様の変更も提供元しだいです。提供元が古いモデルの提供を終えれば、同じモデルは使えなくなります。
オープンウェイト: 重みを配る
オープンウェイトモデルは、学習済みの重みを公開し、誰でもダウンロードして動かせるようにしたモデルです。自社のサーバーで動かせば、データを外部に送らずに済みます。自社の用途に合わせた調整(第10回のファインチューニング)もしやすく、研究者が中身を詳しく調べることもできます。公開されたモデルを土台に、ほかの開発者が日本語向けなどに調整した「派生モデル」が次々に生まれるのも、オープンモデルならではの広がりです。
その代わり、動かすための計算機(第15回)や運用の手間は自分で負担します。また、一度公開した重みは世界中に複製されるので、後から取り消すことはできません。安全のための制限を外して悪用される心配も、オープンモデルをめぐる議論の大きな論点です。
「オープン」にも段階がある
注意したいのは、「オープン」という言葉の中身が発表によって違うことです。重みは公開しても、学習に使ったデータや学習の手順までは公開しない例が多くあります。手順やデータまで公開して、ほかの人が作り直せるようにした例もあります。
また、公開されていても自由に使えるとは限りません。利用条件(ライセンス)で、商用での利用や使い方に制限が付いていることがあります。ソフトの世界でいうオープンソースの考え方とは必ずしも同じではないため、「オープンウェイト」と呼び分けることが増えています。
なお、同じ会社が、主力のモデルはクローズドで提供し、小さめのモデルはオープンで公開するように、両方を使い分けることもあります。オープンかクローズドかは会社ごとの性格というより、モデルごとの判断です。

たとえるなら
クローズドモデルは、レストランの料理です。お店に行けばおいしい料理が食べられますが、厨房は見えず、作り方も教えてもらえません。
オープンウェイトモデルは、料理を鍋ごと持ち帰れるお店です。家で温め直し、好みの具を足して自分の味に仕上げられます。ただし、レシピ(学習データや手順)までは教えてもらえないことが多いのです。レシピまで公開しているお店なら、自分で一から作り直すこともできます。どのお店を選ぶかは、手軽さを取るか、自由さを取るかの違いです。
ニュースを読むコツ
「新しいモデルをオープンに公開」というニュースを見たら、まず何が公開されたのかを確かめましょう。重みだけか、学習の手順やデータまでか。次に、利用条件で商用利用ができるかどうか。「オープンソース」と書かれていても、実際には重みだけの公開ということもあるので、言葉より中身を見るのが確実です。そして、動かすのにどれくらいの計算機が必要なモデルなのか(第13回の大きさ)も見ておくと、自社で本当に使えるかの見当がつきます。
確認クイズ
Q1. 「オープンウェイトモデル」の説明として正しいのはどれ?
- 学習に使ったデータまで、必ずすべて公開されているモデル
- 誰でも無料でAPIを使えるが、重みは公開されていないモデル
- 学習済みの重みが公開されていて、ダウンロードして自分の環境で動かせるモデル
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正解は C。オープンウェイトは「重み(パラメータの値)」を公開したモデルです。重みが公開されていても、学習データや学習の手順までは公開されないことがよくあります。Q2. オープンモデルを使う利点として、本文で挙げたのはどれ?
- 自社のサーバーで動かせるので、データを外に出さずに済み、自社向けの調整もしやすい
- 準備をしなくても、すぐに最高の性能が出る
- 提供元が運用や安全対策をすべて引き受けてくれる
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正解は A。手元で動かせるのがオープンモデルの最大の強みです。その代わり、動かすための計算機や運用の手間は自分で負担します。運用を提供元に任せられるのは、クローズドモデルの利点です。Q3. 「モデルをオープンに公開」というニュースで、本文が確かめるよう勧めたことはどれ?
- 何が公開されたのか(重みだけか、手順やデータもか)と、利用条件(ライセンス)
- 公開した日が平日か休日か
- 発表した会社の社員数
