工場の配置検討を1カ月から1日に短縮 東大発の燈が職人の技を引き出すAI提供
- 東京大学発の燈が、建設や製造の現場で設備配置や生産計画を最適化するAI「Spica」の提供を開始した。
- AIの提案と人の修正を繰り返して熟練者の暗黙知を引き出し、従来の初期検討期間を1カ月から1日に短縮した。
- 人手不足や技能継承が急務となる中、半導体工場などの計画で生産量を日産860枚から1,010枚へ向上させた。
東京大学発のAIスタートアップである燈株式会社(東京都千代田区)は、建設業や製造業などのものづくり現場に向け、設備レイアウトや生産計画、人員配置を最適化するAIエージェント「Spica(スピカ)」の提供を開始した。熟練者が持つ暗黙の判断基準を引き出しながら最適解を導く仕組みで、半導体工場などの建設計画における初期検討期間を従来の約1カ月から1日に短縮する実証結果を得ている。
開発の背景には、国内のものづくり産業における働き手不足と技能継承の課題、さらに工場投資の拡大がある。試算によると、現状のまま推移した場合は2040年に日本全体で約1,100万人の働き手が不足し、建設職では必要な人手の22.0%が不足するとされる。また、製造業の就業者数は2024年の1,046万人から2025年には1,033万人へと減少し、34歳以下の若年層は258万人にとどまる。建設業でも就業者の約4割を55歳以上が占め、29歳以下は約1割にとどまるなど高齢化が進む。さらに製造業において技能継承がうまくいっていると回答した企業は33.3%にすぎず、85.4%の企業が将来の技能継承に不安を抱えている。一方で政府は「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に基づき、2030年度までの7年間に10兆円以上の公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民投資を促す方針を掲げており、工場の早期稼働と熟練技術の継承が急務となっている。
現場の熟練者は、配置や人数、安全基準、稼働率、作業効率などを総合的に考慮して意思決定を行っているが、その多くは言語化されていない暗黙知に依存していた。従来の最適化ツールでは人が事前にすべての条件を定義する必要があり、暗黙知をシステムに反映することが困難だった。これに対しSpicaは、AIが提示した案に対して人間が修正や承認を繰り返すサイクルを採用する。顧客から提供された資料やデータをもとに、「配置できる区画」「設備同士の干渉」「柱の回避」といった現場の制約条件を整理して最適案を提示する。その過程で熟練者自身も意識していなかった判断基準を洗い出し、判断根拠を言語化して蓄積することで、属人化していたノウハウを組織の資産として次世代に引き継ぐことを可能にした。
計算手法にはメタヒューリスティクスなどを採用しており、短時間で解を算出して複数の比較案を迅速に提示できる。実際の工場の設備レイアウト最適化の検証では、承認された制約条件を考慮して再検討を行った結果、1日あたりの製品生産量が860枚から1,010枚へと向上した。燈は、現場の最前線に入り込んで熟練者の声を聞きながら生産性向上に取り組んできた経緯を踏まえ、課題解決のエンジニアリング過程そのものをプロダクト化したとしている。


この記事は PR TIMESの発表を AI が日本語に要約したものです。正確な内容は原文をご確認ください。
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