第12回 AIエージェント
自分で道具を使って仕事をこなすAI
- 質問に答えるAIと、仕事を進めるAIエージェントの違い
- 「計画→行動→結果を見る」の繰り返しが基本のしくみ
- 任せるときに人間の確認を挟むべき場面
答えるAIから、動くAIへ
ここまで見てきたチャットAIは、質問すると文章で答えてくれるAIでした。AIエージェントは一歩進んで、目標を伝えると、達成までの手順を自分で考え、実際に作業を進めます。
たとえば「来週の出張の準備をして」と頼むと、予定表で日程を確かめ、交通手段を検索し、候補を比べて、予約の一歩手前まで進める。人間が一つずつ指示しなくても、作業の段取りそのものをAIが組み立てるのが特徴です。
基本のしくみ: 計画→行動→結果を見る
エージェントの中では、LLMが「頭脳」の役割をしています。目標を受け取ると、まず何をすべきかを計画します。次に、検索・計算・ファイルの読み書き・ブラウザの操作といった「道具」を使って行動します。そして、その結果を見て、次に何をするかを考え直します。
この「計画→行動→結果を見る」の輪を、目標が達成されるまで何周も繰り返す。これがエージェントの基本の形です。
「道具」とは何か
エージェントの力は、使える道具の種類で決まります。ウェブ検索、メールや予定表の操作、社内システムへの入力、プログラムの実行など、AIが外の世界に働きかけるための窓口が道具です。
AIと道具をつなぐ方法も整ってきました。AIが「この道具をこの条件で使いたい」と指示を出すしくみや、AIと外部のサービスをつなぐ共通の規格であるMCP(Model Context Protocol)が広まり、さまざまなサービスをエージェントから使えるようになっています。

たとえるなら
チャットAIが「何でも答えてくれる物知りな相談相手」だとすれば、エージェントは「おつかいを任せられる新人アシスタント」です。メモを見ながらお店を回り、売り切れなら別の店を探す。任せられる範囲はずっと広くなります。
ただし新人ですから、高い買い物をする前には一度電話で確認してもらいたいものです。この感覚が、エージェントとの付き合い方の基本になります。
任せるときの注意点
エージェントは便利な反面、間違いの影響も大きくなります。チャットAIの間違い(第8回のハルシネーション)は文章の中にとどまりますが、エージェントの間違いは「行動」として現れます。一つひとつは小さな誤りでも、何段階も作業を重ねるうちに積み重なってしまうことがあります。
そのため、支払い・メールの送信・ファイルの削除のような取り消しにくい操作の前には、人間の確認を挟むのが基本です。エージェントに与える権限を必要な範囲に絞っておくことも大切です。
ニュースを読むコツ
「新しいAIエージェントを発表」というニュースを見たら、そのエージェントがどんな道具を使えるのか、どこで人間の確認が入るのかに注目してみてください。できることの広さと、安全のための歯止めの両方を見ると、その発表の本当の意味が見えてきます。
やってみよう
ウェブ検索ができるAIに調べものを「任せて」みて、AIが道具を使って作業を進める様子を見てみましょう。
- 「(あなたの住んでいる地域)から日帰りで行けるおでかけ先を3つウェブで調べて、移動時間と入場料を表にしてください。最後に、調べた手順を箇条書きで教えてください。」
成功の目安: 回答の途中や最後に「検索した」「ページを確認した」といった手順が示され、表の情報に出典のリンクが付いていれば成功です。AIが検索という道具を使って作業した証拠です。
- 表の数字を1つ選び、付いているリンク先のページで正しいかを確かめてください。
成功の目安: 数字が一致していれば成功です。違っていたら、第8回のハルシネーションがエージェントでも起きることを確かめられたことになります。
確認クイズ
Q1. AIエージェントが、ふつうのチャットAIと違う点はどれ?
- 目標を与えると、自分で手順を組み立て、道具を使って作業を進める
- 文章を書くのがとても速い
- 人間の言葉を理解できる
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正解は A。言葉を理解して文章を書くのはチャットAIも同じです。エージェントの特徴は、手順を自分で考え、検索やファイル操作などの道具を使って実際に作業を進める点にあります。Q2. エージェントが仕事を進めるときの基本の繰り返しはどれ?
- 質問を受ける → 答える → 終了する
- データを集める → 保存する → 削除する
- 計画する → 行動する → 結果を見る
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正解は C。計画を立て、道具を使って行動し、その結果を見て次の計画を立てる。この輪を目標が達成されるまで繰り返すのが基本のしくみです。Q3. エージェントに仕事を任せるときの注意点として、本文で挙げたのはどれ?
- 支払い・送信・削除など取り消しにくい操作の前には、人間の確認を挟む
- 途中の手順は見ずに、最終結果だけを確認する
- できるだけ多くの権限を与えて、自由に動けるようにする
