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基礎講座 · 入門 第1章 AIってそもそも何?

第4回 生成AIとは
見分けるAIと作るAI

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この回でわかること

見分けるAIと、作るAI

第2回と第3回で見てきたAIの多くは、「見分ける」仕事をするAIでした。写真に写っているのは猫か犬か、このメールは迷惑メールかどうか、この部品に傷はあるか。入力を受け取って、あらかじめ決まった答えの候補から「どれか」を選ぶのが仕事です。

これに対して、文章や画像、音声などを新しく作り出すAIを生成AIと呼びます。「夕焼けの海辺を歩く猫の絵を描いて」と頼めば、どこにも存在しなかった絵が出てきます。答えの候補が決まっていない、という点が大きな違いです。

生成AIが一気に身近になったのは、2022年にChatGPTが公開されてからです。研究はそれ以前から続いていましたが、誰でも言葉で頼むだけで使えるようになったことで、仕事や暮らしの中へ急速に広がりました。

上段は猫の写真を受け取ったAIが「猫」「犬」「鳥」の候補から答えを選ぶ見分けるAI、下段は「夕焼けの海辺を歩く猫」という指示を受け取ったAIが新しい画像を作り出す作るAIを比べた図。下段の右には、ノイズだらけの画像から少しずつ絵が浮かび上がる拡散モデルのしくみを示す
図1 見分けるAIは「どれか」を選び、作るAIは新しいものを作る

作るAIは何を学んでいるのか

生成AIは、大量の文章や画像から「それらしさ」のパターンを学んでいます。日本語の文章ならどんな言葉がどんな順に並びやすいか、猫の写真なら毛並みや耳の形がどうなっているか。そのパターンをもとに、学習したデータには無い新しい組み合わせを作り出します。

よくある誤解は、「ネットのどこかにある画像を探してきて見せている」「学習した写真を切り貼りしている」というものです。基本的には、検索して持ってきているのでも、切り貼りしているのでもなく、学んだパターンから新しく作っています。そのため、同じ指示を出しても、作るたびに少しずつ違う結果になります。

文章も、画像も、音声も

生成AIにはいくつもの種類があります。文章を作るAIの代表が、ChatGPTなどの中で動いているLLM(大規模言語モデル)です。次の第5回で、そのしくみを詳しく見ます。

画像生成のAIでは、拡散モデルと呼ばれるしくみがよく使われています。まず、ノイズ(砂嵐のようなでたらめな点)だらけの画像を用意し、そこから少しずつノイズを取り除いていくと、指示に合った絵が浮かび上がってくる、という作り方です。ほかにも、音声や音楽、動画、プログラムを作るAIがあり、文章と画像をまとめて扱えるAIも増えています(第11回)。

どの種類でも、人間はふつう言葉で指示を出します。この指示をプロンプトと呼び、書き方しだいで結果が大きく変わります(第7回)。

美術館で額に入った絵を虫眼鏡で調べる鑑定士と、たくさんの名画を貼ったアトリエで新しい風景画を描く画家のイラスト
図2 絵を見分ける鑑定士と、新しい絵を描く画家

たとえるなら

見分けるAIは、絵の鑑定士です。目の前の絵を細かく調べて「これは本物」「これは別の画家の作品」と判定します。けれども、自分で新しい絵を描くことはしません。

作るAIは、たくさんの名画を見て学んだ画家です。見てきた絵のどれかを写すのではなく、学んだ筆づかいや色の使い方を組み合わせて、まだ誰も見たことのない絵を描きます。ただ、ときには見てきた絵に似すぎてしまうこともあり、そこが後で見る注意点の一つになります。

便利さの裏にある注意点

生成AIは、文章の下書き、アイデア出し、資料の要約、画像づくりなど、多くの仕事を速くしてくれます。一方で、注意すべき点も新しく生まれました。

文章を作るAIは、事実と違う内容をもっともらしく書いてしまうことがあります(第8回)。学習したデータとよく似たものを作ってしまうこともあり、そもそも他人の作品を学習に使ってよいのかを含めて、著作権が議論になっています(第20回)。さらに、本物そっくりの偽の画像や音声、いわゆるディープフェイクが悪用される問題もあります(第21回)。

ニュースを読むコツ

「新しい生成AIを発表」というニュースを見たら、まず何を作るAIなのか(文章、画像、音声、動画)を確かめてみてください。そのうえで、どんなデータで学んだのか、作ったものの権利や悪用への対策をどう扱っているのかに注目すると、発表の中身が見えてきます。

確認クイズ

Q1. 「見分けるAI」と「作るAI(生成AI)」の違いとして正しいのはどれ?

  1. 見分けるAIは決まった候補から答えを選び、作るAIは学んだパターンから新しいものを作る
  2. 作るAIは、インターネットから似た画像を探してきて見せている
  3. 見分けるAIは新しいものを作り、作るAIは決まった候補から答えを選ぶ
答えを見る正解は A。写真が猫か犬かを答えるのが見分けるAI、どこにも無かった絵や文章を作り出すのが生成AIです。生成AIは検索や切り貼りではなく、学んだパターンから新しく作っています。

Q2. 画像生成でよく使われる「拡散モデル」のしくみはどれ?

  1. 人間が描いた下書きの線を、一本ずつなぞって清書する
  2. ノイズだらけの画像から少しずつノイズを取り除き、絵を浮かび上がらせる
  3. 学習した写真を細かく切り抜いて、貼り合わせる
答えを見る正解は B。拡散モデルは、砂嵐のようなでたらめな点だらけの画像から始めて、指示に合うように少しずつノイズを取り除いていきます。

Q3. 生成AIの注意点として、本文で挙げたのはどれ?

  1. 文章しか作れず、画像や音声は扱えない
  2. 本物そっくりの偽の画像や音声(ディープフェイク)が悪用されることがある
  3. 同じ指示を出せば、作るたびに必ずまったく同じ結果になる
答えを見る正解は B。生成AIは同じ指示でも作るたびに少しずつ違う結果を出し、文章・画像・音声などさまざまなものを作れます。その力が、本物そっくりの偽物づくりに悪用される問題もあります(第21回)。

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